「張りどめ」のお薬

切迫流産・切迫早産と診断された方の中には、「張り止め」の薬を処方されている方も多いと思います。張り止めのお薬
お薬は副作用が気になるという方が多いのですが、副作用が強く出るということは、薬が良く効いているということ
副作用を嫌がらず医師に言われた通りキチンと服用しましょうね。

「張り止め」ズファジラン・ウテメリンの効用と副作用

「張り止め」としてのお薬は、16週以前にはズファジラン、16週以降にはウテメリンを処方されることが多いです。
ウテメリンはキッセイ薬品の先発品です。ウテメナール・ウテロン・ルテオニンリトメリン錠、塩酸リトドリン錠、リンドルフ、などのジェネリック品がありますが、成分は塩酸リトドリンで同じ薬です。詳しくはこちらを参考にしてください。

これらは切迫流産・切迫早産の第一選択薬で、ウテメリンは「張り止め」として非常に効果が高いので、開発されて以降早産になる患者さんが劇的に減ったと入院中に助産師さんから聞いたことがあります。
ズファジランよりウテメリンの方が効果が高いですが、安全性が確立されていないとの理由でウテメリンは16週以前の妊婦さんには使われません。
ズファジランも基本的には13週以前には処方しないことになっているようですが、危険性が少ないとされているので医師の判断により適宜処方されるケースもあります。
今現在、お腹の張りが認められない場合でも出血等のトラブル症状がる場合は、念のため(お守り代わりに)処方される場合も多いです。

効果
・お腹の張り(子宮の収縮)を抑えます。

副作用
・動悸 ・頻脈 ・ふるえ ・ふらつき ・顔面潮紅 ・はきけ ・体のほてり など

どうしてお腹の張り(子宮の収縮)が治まるの?
ここでちょっと理科の授業のおさらいをしましょう。
私たちの体のすべての内臓、全身の血管や分泌腺は自律神経に支配されています。自律神経は知覚・運動神経と違って、私たちの意思とは関係なく独立して働いているので、内臓や血管を私たちの意思で自由に動かす事は出来ません。反対に、意識しなくても呼吸をしたり、食べたものを消化するため胃を動かしたり、体温を維持するため汗をかいたりするのは、自律神経があるからです。
 自律神経には、交感神経(起きている時の神経・緊張している時の神経)副交感神経(寝ている時の神経・リラックスしている時の神経)があります。この二つは、一つの器官に対して互いに相反する働きをしています。

交感神経 起きている時の神経・緊張している時の神経
(例;運動する時)
副交感神経
(子宮の筋肉)
寝ている時の神経・リラックスしている時の神経
(例;食べる時、寝る時)

子宮の収縮を引き起こす筋肉は、このうち副交感神経に支配されています。つまり、副交感神経が活発になると子宮は収縮しやすい(お腹が張りやすい)ということです。言い換えれば寝ている時・リラックスしている時ほどお腹は張りやすいということになり、夜に陣痛が来ることが多いのもこのせいです。

副交感神経が活発になると子宮が収縮しやすくなるので、切迫流産・切迫早産に処方される張りどめのお薬は、副交感神経の逆に作用する交感神経を活発にすることによって、子宮の収縮を抑えてくれるものです。
よって張りどめのお薬の副作用は、交感神経が活発になることによって引き起こされるものです。運動した時のように、ドキドキ動悸がしたり、脈が上がったり、ほてったり、汗をかいたりするのがその典型的な例といえるでしょう。

錠剤の場合、飲んで1時間ほどで効き目が最大になるのでその時間帯に強く副作用が出ますが、飲んでから時間が経って段々と血中濃度が薄くなっていくにつれ副作用も弱くなるかわりに効果も弱くなります。
血中濃度をできるだけ一定にするために、例えば1日3錠飲むように言われた場合は「食後3回」ではなく、「8時間ごとに1日3回」飲むようにすることが大切です。

錠剤・点滴ともに、薬を使い始めて一定期間が経つと体が薬になれて、副作用も落ち着いてくる代わりに効き目もなくなってくるので、摂取量は段々と増えていく傾向にあります。(私の主治医はそれを避けるために症状が落ち着いていたらすぐに投薬量を減らして体が必要以上に薬に慣れないようにしてくれました。)

「張りどめのお薬」私の体験談

ウテメリン2002年私が一人目の切迫でウテメリンを処方されたときには、外来で処方できるのはウテメリン錠剤3錠までだと主治医に言われました。それ以上は保険適用外、もしくは、入院してからでないと処方できない、と。
入院しても錠剤は4錠まで。それでもお腹の張りが治まらない場合には点滴でウテメリンを入れることになりました。

しかし、6年後二人目を切迫でウテメリンが処方された時には、なんと8錠まで外来で処方してもらえるようになっていました。6年経ったから8錠処方できるようになったのか、病院によって方針が違うのか、それは不明ですが、1回に2錠ずつ・1日4回(6時間ごと)に飲むことができます。
内服でカバーできる範囲が増えたことで、一人目のときよりも入院期間が減り長い間自宅で過ごすことができて本当に助かりました。
しかし1回に2錠飲んだ時の副作用は半端ではなく、飲んで1時間後(副作用が最大値になっている時)には、心臓バクバク・手はブルブルで食事が摂れないほど。

それでもダメだったので、入院して点滴で張りどめのお薬を入れることになりました。ウテメリンの点滴というのは、500mlのブドウ糖液(上にぶら下がってる袋←コレ)にウテメリン1A(アンプル)を入れて薄めたものを、1時間に30ml点滴するところから始めました。
この場合、『1A30ml』 と表します。この量で錠剤4〜6錠とほぼ同量のウテメリンを摂取することになります。
それでもお腹が張るようなら、『1A40ml』→『1A50ml』と量を増やしていきます。
この場合、薬と一緒に大量の水分を摂取してしまいすぐにトイレに行きたくなってしまいますので、摂取する量が増えてきたら入れるウテメリンを2A(2アンプル)→3A(3アンプル)と増やして濃度を濃くし、濃度2倍なら量は半分、濃度3倍なら量は3分の1という風に調節していきます。「1A60ml」=「2A30ml」=「3A20ml」=「4A15ml」はどれも同じ薬の摂取量です。
規定上、摂取できる最大量は1A120ml(4A30ml)までと決まっているそうです。でもそんなに摂取したら心臓バクバクの副作用にでおそらく耐えられないでしょう。
錠剤から点滴になったことで、手元の点滴の機械を操作するだけでウテメリンの摂取量を操作することができ、張りが強くなったら少し量を増やし、治まれば量を減らすという微妙な操作ができるようになりました。
また、点滴でウテメリンを使うと、血中濃度が常に一定に保たれる為に、飲み薬ほど一時的に強い副作用に襲われるということはありません。
しかし、お腹の張りが強くなり摂取量が増えてくると、常に汗ばんで、夜は氷枕がないと眠れないということも経験しいました。

これ→私の二人目切迫入院の時の点滴です。右の機械がウテメリン(ウテロン)で、この時点で3A21mlでした。
当時の私はこれでも張りが治まらなかったので、マグセントという薬も併用しています(→左の機械)
マグセントも、切迫流産・切迫早産予防のための子宮収縮抑制剤です。通常、ウテメリンが第一選択薬、それと併用するために第二選択薬としてマグセントが使われるようです。
マグセントは少しの量(5ml)で良く効きましたが、体全体がだるくなり重くなりました。ふくらはぎがつったり、歩くのがしんどくなったりします。
でも、なんとか帝王切開予定日まで赤ちゃんをお腹で育ててから産んであげることができましたよ!

シンドイ副作用もすべて赤ちゃんが1日でも長くお腹で大きくなれるため。
「なんでこんな薬飲まなあかんの?」
とボヤかないで、その必要性をしっかりと理解して処方された通りにキチンと飲んでくださいね!

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副作用と上手く付き合おう!

私が切迫流産・切迫早産でウテメリンを服用している時に一番辛かったのは、夜になってもゆっくりぐっすりと眠れないことでした。
そんな時うれしかったのは看護師さんが作ってくれる氷枕!
水が多めよりも、氷がたーっくさん入っていてゴツゴツしている枕の方が気持ちいいです。
御自宅でもできますので、是非試してみてください。

それから第2子イチゴのときは、副作用軽減のために漢方薬の当帰芍薬散(→これ)を処方してくれました。漢方薬と言って侮るなかれ。これが結構効くんですよ。
ちょっとまずくて飲みにくいですが、本当にだいぶ違うのでお医者様に相談してみては?

薬が効いている限り副作用は無くなりません。
きつく副作用が現れる時間には、無理に何かしようとするより、スッパリあきらめてゆったり横になっているのが一番です。
飲む時間を調節してゆったりできる時間に副作用を合わせるようにするのも手です。

辛い辛いと嘆くよりも、上手く付き合う方法を考えて、ポジティブシンキングで参りましょう!

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病院ではこんなレトロな氷枕でした。
家庭用のアイスノンではゴツゴツした感じは出せません。